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日々の芥

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発売日に届いてはいたのだが、時間がとれなかったり、風邪を引いて寝込んでいたりしてなかなか読み進まなかったのだが、半分を過ぎたところからは一気に一晩で読了。

かれこれ、20年もこの沈欝な主人公と付き合ってきたので、もはや、ニューヨークのどこかに彼が存在していて、その近況報告を読んでいるような気になる。
もはや、”八百万の死にざま”のように、拳銃で終わりにすることもできず、"墓場への切符"のように、拳でケリもつけられない。もう彼も60代後半で、探偵仕事はもはや引退寸前、妻の不動産収入で暮らし、AAに通い、暇な時は妻の画廊の店番をする。悠々自適の暮らしなのだ。
ファンとしては、もう一度、カタルシスを味わいたいのだが、もはやエレインの死しかあるまい。だが、それは読みたくもあり、読みたくもなし。いや、原題の”All The Flowers Are Dying"からしてそれを暗示しているようで、怖かったのだ。その意味で本作がスカダーの最後となっても仕方ない。

911以降の喪失感が、何故これほど共感できるのか不思議だ。あの出来事で確実に私は何かを失った。鋭利なナイフで切り裂いたように、外からは見えないほど薄いが、深い傷だ。そして、今もその隙間を埋められずにいる。

個人的には、”聖なる酒場の挽歌”に次ぐ作品だ。

すべては死にゆく すべては死にゆく
ローレンス ブロック (2006/12)
二見書房
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追記
しかし、最後まで犯人の名前がわからないというのも凄いなあ。戸籍制度にならされているとわからないけど、本人確認のシステムってどうなっているんだろう。
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