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日々の芥

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東京と長野を往復する新幹線の中で、"鉄塔武蔵野線"の文庫本を読んでいた。

東京から長野へ向かう車窓の眺めは単調だ。埼玉を抜けて高崎までは、街と畑が交互に出てくる程度で、とりたてて面白みがない。上越新幹線と離れて、軽井沢を向かい、浅間山が見えてくると、多少は長野行きの気分が出てくるが、そこから30分程度では、どうも気分がのらない。まあ、東京から長野へ1時間40分で着いてしまうのがおかしいのだ。やはり2時間30分はないと旅の気分が盛り上がらない。ゆっくり旅をするオプションはないものか。

"鉄塔武蔵野線"を読むのは、今回がはじめてだ。10年以上も前に、初版が出ているのは知っていたし、映画化されたことも知識としてはあったが、いつか、そのうち読むリストに入りっぱなしで、書店で見かけるまで忘れていた。
ストーリーは単純だ。気怠い夏休みの終わりかけのある日、鉄塔好きの少年が、自分のテリトリーにある鉄塔の"武蔵野線"という文字と"75-1"を手がかりに、"武蔵野線"を辿り、1番鉄塔を目指していく物語だ。


鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1) (ソフトバンク文庫 キ 1-1)鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1) (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
(2007/09/21)
銀林 みのる

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本の端々から溢れ出る、鉄塔に対する愛については語るまい。鉄塔をたどり、"75-1"から"74"へ、順番にカウントダウンする鉄塔のナンバーとともにストーリーが終盤に近づくにしたがって、読んでいる私の気持ちが同期する。14番鉄塔に感じる儚さ、10番鉄塔への感慨、5番鉄塔についた時の夢のような気分。そこには、確かに魂の叫びがあるし、これを感じ取れない人には、風変わりな小説としか思えないだろう。

終章は、長野から東京への帰りに読んだ。長野を出る時には沁みるような赤い夕焼けだったのに、いつの間にか、青黒い空に白く寒々とした満月が車窓からみえた。

列車を追いかけてくるような満月を眺め、何故か物悲しい気分になった。そこにある満月を、私と同じ気持ちで眺めている人はいるだろうか、そして私は、この次に満月を見た時に同じ気持ちを感じるだろうか。

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